あらゆる物体をプレス機で押し潰して生贄に捧げると生まれることでお馴染みM4 iPad Proをついに購入した。のは少し前の話だけど、ちゃんとしたレビュー記事を書くためにはある程度使い込む必要があるのでレビューが遅れてしまった。今回はM4 iPad Proを半月ほど毎日使い続けてきた上でのレビュー記事をお届けしたい。
【結論】M4iPad Proはまだ完全体じゃない
まず結論から。M4iPad Proは間違いなく最高。6年ぶりのフルモデルチェンジで元々完成度の高かったハードはさらに洗練されてて冗談抜きで弱点がないし、タブレットとしての実力に全く文句はない。
けど発売されて間もないこともあってソフト、OSがまだコイツのハードに全く追いついてない。例えるならまだ店舗が十分に出店してない状態で急いでオープンしてしまった超大型ショッピングモール。今あるタブレットがまだ十分に使える人はこのM4iPad Proの潜在能力を活かした新しい機能やソフトが揃うまで待っても良い。
M4 iPad Proの特徴
M4 iPad Proの主な特徴は発表当初の記事でも書いたけど簡単にまとめると下記の通り。
- 従来より1.3ミリ薄く、100グラム軽い新デザイン
- 新開発M4チップ搭載
- 2層構造の有機EL(タンデムOLED)搭載
- 画面サイズが0.1インチ拡大
- ナノテクスチャガラスがオプション設定
- フロントカメラが横向きに移動
- シングルカメラ化
- 最小ストレージが256GBにアップ
- ApplePencil Proに対応
- 新型Magic Keyboardに対応
- 218800円〜
フルモデルチェンジなだけあって変更点や進化点が非常に多い。書いてて非常に楽しい。
M4 iPad Proのスペック
新型の主なスペックを今までのメイン機であるM1iPad Proと比較した表がこちら。
iPad Pro2021 | iPad Pro 2024 | |
画面サイズ | 12.9インチ | 13インチ |
解像度 | 2732×2048 | 2752×2064 |
プロセッサ | Apple M1 | Apple M4 |
メモリ | 8GB | 8GB |
ストレージ | 256GB | 256GB |
生体認証 | 顔認証 | 顔認証 |
重量 | 682グラム | 579グラム |
サイズ | 280.6×214.9×6.4mm | 281.6×215.5×5.1mm |
値段 | 141800円 | 218800円 |
ほぼ全ての項目が何らか変化しているけど価格も大幅アップ。もちろん購入したのは11インチでなく13インチ。これも先代と変わらない。
Antutuベンチマークは脅威の260万点。M1世代や一昨年のハイエンドAndroid機で150万点ぐらいであることを考えればただただやばい。
M4 iPad Proの薄すぎてヤバい外観
このM4iPad Proを手にとって一番最初に感じる進化こそ薄く、軽くなったこと。従来の12.9インチから画面サイズはほぼ同じままで厚みは1.3ミリ薄くなり、重さは100グラム以上軽くなった。
基本的なデザインは角ばった石板みたいだった先代を継承しているけど相変わらず質感は超絶高い。薄くなったことで力を込めたら曲がりそうだけど、一応Appleは強度は先代と同等以上だと主張してる。
そして手に持った瞬間にわかる軽さ。これマジで感動した。多分今まで3年間12.9インチをほぼ毎日使い続けたからこそわかる軽さだと思う。
先代のM1 iPad Proと比べてもこの薄さ。
正面のディスプレイは今回から有機ELに。
二層構造にしたことで有機ELの強みの輝度やコントラストの高さを維持しつつ弱点である焼きつきを抑えたんだとか。まあ先代からレベルは高かったので画質に関してはそれほど感動せず。
背面には放熱のため銅製になったお馴染みのりんごマークと、
先代と違いシングルカメラ、3つあるうち2つは3Dセンサーとフラッシュライト。
スピーカーも左右2つずつの4つ備わる。側面はペンをくっつけて充電するスポットと音量ボタン。逆側は何もなし。
底面には去年ようやくiPhoneにも備わったType-C端子。
このType-CはThunderbolt対応なので急速充電だけでなくディスプレイへの出力やデータ転送、レシーバーを用いたマウスやキーボードの接続もできる。つまりパソコン向けに構築したThunderboltでのノートパソコンのデスクトップ化をほぼそのまま利用できた。
正直薄くなった以外は大して先代と変わらないが完成度は非常に高い。
M4 iPad Proでできること
じゃあそんなM4 iPad Proって何ができるんだよって話だけどマジで何でもできる。基本的に画面がでかいスマホなのでスマホができることを大体全て、より高い性能と大きな画面でできることがiPadの強みなんだ。
まず大画面を活かしてブラウジング、13インチの大画面のおかげで情報量は圧倒的だし画面分割してもスマホとは違って実に快適。
マンガを見開き表示にしてもiPadなら非常に快適。
ペンでメモを取ることもできる。
とここまではAndroidタブでも一応できることだけど、iPadがAndroidタブよりも圧倒的に強いのは各種のクリエイティブアプリが充実している。つまりコンテンツ消費ではどう考えても過剰な性能の使い道がしっかりと用意されていることなんだ。
例えばAffinity Photoを使えば写真の編集ができるし、本格的なカメラで撮影したRAWデータの編集も非常に快適。
ProcreateでApple Pencilを使った本格的なイラスト作成もできるし、
LumaFusionで本格的な動画編集もできる。
最近は3D制作ソフトもほとんど全部高いけど登場し始めているので、3Dプリンター用のデータ作成やCG制作に利用することもできる。
Type-Cでのデータ転送もできるから画像や動画などのデータはSSDなどにバックアップすることもできるし、SDカードから写真を送ることもできる。
マウスとキーボードを使用すればノートパソコンのように使えるし、Type-Cでの映像出力に対応したディスプレイもしくはハブを使えば外部ディスプレイへの出力もできるから画面の情報量が求められる用途もだいぶ快適。
けどパソコンと同じように使おうとするとiPadOSが足を引っ張る。まず元々指でタッチすることを前提に作られていることもあってマウスを使うとクリックしてもアイコンが反応しない、右クリックもできない(一応長押しで似たようなことはできる)のが不便。
他にもステージマネージャーは外部ディスプレイでも使えるんだけど、何か別のアプリを画面に立ち上げてる状態で別のアプリを起動しようとすると、別のウィンドウにアプリを置いてしまう。この状態から1画面にまとめて表示するにはまずそのアプリが立ち上がったウィンドウを見つけ出してから、ドラッグ&ドロップで目的アプリを持ってくる必要がある。WindowsやMacなら1工程で終わらせられる分割表示にこれだけの手間を割くのはひどい。真剣にまだ僕が使い方を理解してないからこうなってると信じたい。
M4iPad Proの使っててよかったこと
そんなM4iPad Proのメインマシンとして使っててよかったことを順に紹介
軽くなった
とにかくこれが一番。まだソフトやアプリが性能に追いついてないこともあって現時点で使ってて最も恩恵を感じるのはこの軽さ。100グラム軽くなったことで13インチはこれまでの弱点だった機動力が飛躍的に改善されてる。軽さが最も活きるのがこの左手でiPad、右手でペンを持って何かを書くとき。今までの12.9インチでもこの体勢でiPadを持つのはできなくはないんだけど、
出来ると出来ないの間の「出来るけどしんどい」状態だった。でも新型は100グラム軽量化したおかげで余裕でできる。結構長いこと持っていてもしんどくはない。今まで机の上や膝の上以外で使うのは抵抗があったけどそれが変わった。
フロントカメラの位置が改良
もう一つの恩恵はこれ。今までのiPadと違ってフロントカメラと顔認証のセンサーが縦持ちではなく横に持ったときに正面に来るようになった。
12.9インチはサイズの大きさゆえ机に置いて使うことが多かったんだけど、今までのカメラ配置だと縦に置いたときは奥になりすぎてカメラが顔に届かず、横に置くと今度は正面から離れすぎて届かないという絶妙に使いづらい配置になっていた。
それが横配置になったことで縦置き時は今までより手前になって顔を写せるようになり、横置き時は中央に来るため認証されやすくなった。死ぬほど地味だけど顔認証に失敗してパスコード入力を求められる機会が大幅に減る良改良。
Apple Pencil Proはこれからに期待
あとは本体と同時に出たApple Pencil Proも良い。従来の第二世代の機能を全て備えつつ新たに本体を強く握るとショートカットを出せる機能が加わった。これが非常に便利。
従来のダブルタップでのショートカットと合わせてペン単体で2種類のショートカットが使えるようになったので、何かの機能を割り当てるために他を諦める必要がなくなった。従来もダブルタップに消しゴム以外を割り当てることはできたけど、一つしかないので結局消しゴムは諦める必要が出ていた。それが新型で2種類のショートカットが使えるようになったことで、消しゴムに加えてパレットを呼び出せるようになりペン単体でできることが大幅に増えた。しかも強く握ってパレットを呼び出す時や、ダブルタップでツールを切り替えるときに振動するようになったんだけどこれがなかなか良い感触。
現時点ではAppleの純正アプリ以外は全く対応してないのが残念なのでこれからに期待したい機能って感じ。
iPadOSもっと頑張って
こんな感じでM4 iPad Proはコンテンツ消費デバイスとしてもクリエイティブに使うにも最強だし、最近Appleが推しているパソコンの代替としての使い方も少しずつ改善はしているんだけど、ハード的には凄いからこそiPadOSの制約ができることの限界を下げてしまっているのではと思わずにはいられない。
もちろんシンプルなモバイル向けのOSだからこその良さもあるし、それもiPadのパソコンにはない強みではあるんだろうけど、これだけハードは凄くなっているからこそこれでWindowsやMacのようにパソコン向けのフル機能のOSが動かせたらと思わずにはいられない。
iPad Proは確かに最高のタブレットではあるけどまだ未完成。めちゃくちゃ高いし今使ってるiPadが問題なく使えるならまだ待っても良いと思う。しばらくすればこの性能を生かした新しい機能とかが発表されると思うし、それまでは待ちでも良い。Apple製品は良くも悪くもセールされにくいから自分が買いたい時が買い時。
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