プレス機を使った広告が燃えたりと悪評も出てしまったけど、出る出ると噂だった有機EL搭載iPad Proがついに出てきた。しかも2018年以来久々のフルモデルチェンジで、ディスプレイ以外にも多岐にわたる変更や改良がなされている。
ということで新型M4iPad Proの何が変わったのか、何が凄かったのか、逆に何が思ったより微妙だったかをこの記事で振り返っていきたい。
M4iPad Proの特徴・進化点
まずは新型iPad Proの特徴、進化点などを自分が検討してる13インチモデルを中心にまとめていく。
- 従来より1.3ミリ薄く、100グラム軽い新デザイン
- 新開発M4チップ搭載
- 2層構造の有機EL(タンデムOLED)搭載
- 画面サイズが0.1インチ拡大
- ナノテクスチャガラスがオプション設定
- フロントカメラが横向きに移動
- シングルカメラ化
- 最小ストレージが256GBにアップ
- ApplePencil Proに対応
- 新型Magic Keyboardに対応
- 218800円〜
順に解説していく。
従来より1.3ミリ薄く、100グラム軽い新デザイン
ある意味1番大きな進化がこれ。6年ぶりに筐体がリニューアルされた。全体の形状やデザインは直線的で石板みたいな先代を継承しているけど大きな違いが厚み。先代の6.4ミリから1.3ミリ薄くなり、Apple製品史上最も薄い5.1ミリ。
同じ有機ELで大画面タブレットのGalaxy S9 Ultraでも厚さは5.5ミリと考えればその薄さがわかる。
同時に重さも軽くなっていて先代の682グラムから579グラム、ほぼ100グラムのダイエットを達成してる。バックライトがいらない有機ELとチップの一新による省電力性能の向上、そして背面のリンゴマークを熱伝導性の高い銅にするなどの排熱の向上などでこの薄型、軽量化を達成した。
厚さが1.3ミリ薄くなったって言われるとそこまでだけど、体積が20%小さくなったって考えるとかなりの小型化、薄型化だと思う。元々6ミリだった製品が1ミリ以上薄くなるのは、体積ベースで見れば相当な小型化になる。
新開発M4チップ搭載
順当にいけばM3説が有力だったのが直前になってM4説が出ていた搭載チップだけど、結論から言えばM3はスキップされM4チップを搭載した。M3は去年末にでたばかりなので半年で型落ちと化してしまった。
M3Macを買った人は泣いていい。僕もその1人。
それはさておきM4自体は先代のM2と比べてもCPUは1.5倍、メモリは1.2倍高速化と順当な進化、しかも半年で型落ちM3の新機能だったレイトレーシングもしっかり対応してる。
率直に言ってiPadに存在するコンテンツの方がM4どころかM2やM1にすら追いついているとは言えないのでオーバースペックな気がするけど、長く使うことを考えれば性能が高いに越したことはない。
2層構造の有機EL(タンデムOLED)搭載
前から噂になってた有機ELをついに採用。しかもただの有機ELではなくタンデムOLEDと呼ばれる2つのパネルを重ね合わせたディスプレイになっている。
2枚に重ねて発光量を分散させることで全体としての輝度を引き上げつつ1枚あたりの輝度負担を減らすことで、有機ELの弱点として知られる焼きつきを抑えながら強みである高輝度、高コントラストを保つことができる。らしい。
有機EL化のおかげで輝度は通常時でも1000ニト。大半の有機ELスマホと遜色ない水準で、今までは直射日光に負けて見づらくなりがちだった晴れた日の屋外でも快適に使えるかもしれない。
画面サイズが0.1インチ拡大
地味に画面サイズも12.9インチから13インチとわずか0.1インチ拡大。
正直この0.1インチ拡大の恩恵を通常利用で感じることはないだろうけど縮むよりはずっと嬉しい。
ナノテクスチャガラスがオプション設定
おろし金デザインで話題になったPro Display XDRなどハイエンドなAppleのディスプレイで採用が増えているナノテクスチャガラスがオプションで選べるようになった。
画面上に微細なテクスチャ加工を施して環境光を散乱させることで、後付けのアンチグレアフィルムのように画質を損なうことなく映り込みや反射を低減できるらしい。
ただし選べるのはストレージ1TB以上のモデルだけで、しかも16000円のオプション料金がかかる。つまり一般人には全く無用の長物。画面の表面に加工している性質上、保護フィルムを貼ることもダメらしい。外に持っていくことなどまずない外部ディスプレイはともかくiPadでフィルム貼れないのは厳しい。つまり一般人には不要。
フロントカメラが横向きに移動
実は個人的に嬉しい改良がこれ。今までiPadのカメラはスマホと同じように縦に持った時に上に来るような配置だったのが、一昨年の無印iPadから横持ち時に上にくる配置に変更された。
iPadはスマホと違って机に置いて使うことも多いので、従来の配置だと特に縦置き時は顔認証が届きづらくて絶妙に使い勝手が悪かった。
この配置になれば机に置いたとしても縦横両方で顔に届くようになって便利になるはず。
シングルカメラ化
まさかの先代から弱体化した部分もある。今まで標準・広角のデュアルカメラだったのが今回は標準カメラだけになった。遠目に見ると3眼あるように見えるデザインだけど残り二つはLIDERスキャナとフラッシュ。
とはいえタブレットのカメラは基本的に記録や書類のスキャンのために使われることが多くて映える写真を撮るために使われることはないと考えればカメラの割り切りはむしろ正解かもしれない。その分他にリソースを割いて欲しい。
最小ストレージが256GBにアップ
先代からかなり値上がりした分ストレージは最小で256GBにアップ。上限は2TBで変わらずだけど嬉しいポイント。
ApplePencil Proに対応
今回の新型iPad Proの登場で周辺機器もリニューアルされた。まずはApplePencil Pro。
見た目は従来の第二世代とほぼ同じだけど、以下の機能が追加されている。
- 指で強く押す(というか摘む感じ?)とパレットを表示
- ジャイロセンサを搭載してペンの回転を検知できる
- 触覚フィードバック搭載
- 「探す」アプリに対応
もちろんこれに加えて従来のダブルタップや側面マグネット吸着での充電・ペアリング・収納、筆圧や傾きの検知などはちゃんと全部搭載。
しかもまさかの第二世代ペンシルから値段は21800円で据え置き。正確にはApplePencilは16800円だったのが段階的に値上げしているんだけど、まあそれでも良いこと。だけど第二世代は新型では使用不可、残念。多分Proは第二世代の上位版ではなく後継機という位置付けなんだろう。そう考えると「Pro」じゃなくて第三世代と呼ぶ方が良い気がするんだけど。
新型Magic Keyboardに対応
もう一つの周辺機器がこのMagic Keyboard。見た目は従来のものとそんなに変わらないけど筐体の一部がMacのようにアルミになりファンクションキーが追加、しかもトラックパッドもMacBookのものと同じように触覚フィードバックに対応するようになった。
しかも従来よりも軽量化しているらしい。具体的にどれぐらい軽くなったかはまだ不明だけど、iPad Pro本体の100グラムのダイエットにプラスでさらに軽くなれば、ノートパソコンで良いだろっていうツッコミが入りがちのiPad+Magic Keyboardの組み合わせに単なるロマンやiPad愛以上の意味が生まれるのかも。
けどそんなMagic Keyboardのお値段は59800円とかいう完全なる信者専用価格。もちろん僕は買えないし買わない。どこかがジェネリック新型Magic Keyboardを出してくれるのを待つことにする。
218800円〜
そんな新型iPad Proのお値段は13インチだと最小構成で218800円から。タブレットが最安20万オーバーはやばい。しかも今回は今までのiPhoneやMacと違って為替レートを考慮しても安くない。
今までは値上げしてもアメリカでの価格を円に換算したものよりは安かったんだけど(それだけAppleは日本市場を重視しているということでもある)今回は純粋にアメリカよりも高価になってる。厳密には日本の価格は税込価格なのに対して、アメリカでは消費税に相当する売上税が州ごとに違うため、ここにさらに0〜7.5%の税金を足さないと実際の価格にはならない。
それでも売上税が7.5%で最大のカリフォルニア(よりにもよってAppleのお膝元)でやっと日本とほぼ同価格。そもそも今までは売上税を考慮するまでもなく日本の方が安かったんだから値上がりの事実は揺らがない。
まあ文句ばかり言っててもしょうがないし、ポジティブに考えるなら割高になったことで国外に転売しても利益が出にくくなる。つまり転売で入手困難になるリスクは減ったと言えるかも。
M4iPad Proは5月15日発売
この記事本文のほとんどはAppleEvent翌日の8日の仕事終わりに勢いで書いたものだけど、やっぱりフルモデルチェンジしたガジェットは書くことが多いから楽しいし筆も進む。搭載チップが変わっただけのマイナーチェンジだと残念ながらこうは行かない。
そんなM4iPad Proは現在予約中で発売は5月15日。僕は発売日に突撃は流石にしないだろうけど多分近いうちに買う。もうすぐボーナスもでるし。
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