久しぶりのハイエンドAndroidタブレットとして登場してきたGalaxy Tab S8+。以前話したとおり、iPad Proと実際の用途で実力、快適性を見ていきたい。
まずは電子書籍リーダーとしての実力から検証したい。これ何回ぐらいの企画になるんだろうか。
Galaxy Tab S8+とiPad Proのスペック
まずは両機種のスペック。
Galaxy Tab S8+ | iPad Pro2021 | |
画面サイズ | 12.4インチ | 12.9インチ |
画面解像度 | 2800×1752 | 2732×2048 |
CPU | Snapdragon 8 Gen1 | Apple M1 |
メモリ | 8GB | 8GB |
ストレージ | 128GB | 256GB |
生体認証 | 指紋認証 | 顔認証 |
重量 | 567グラム | 682グラム |
サイズ | 285.0×185.0×5.7mm | 280.6×214.9×6.4mm |
値段 | 115500円 | 141800円 |
サイズを見てみると長さはGalaxyの方が僅かに長く、逆に幅はiPad Proの方がかなり大きい。これはディスプレイのアスペクト比がiPad Proの4:3に対してGalaxyは16:10、Galaxyの方が細長い形状のディスプレイになっていることが原因。
電子書籍用途でもう一つ大きな違いになりそうなのが端末の重さ。Galaxy Tab S8+の方が100グラム以上軽い。ここまで違うと持っただけでGalaxyの軽さがわかる。iPad Proは毎日使っているから尚更それを感じやすい。
横長のディスプレイはマンガには弱い

ディスプレイのサイズ自体はiPad Proの12.9インチに対してGalaxyは12.4インチ。数字だけ見るとそこまで差はないように見えるけど、前述の通り画面のアスペクト比が違うから実際の表示はかなり違う。
iPad Proの縦の長さはそのままに横を少し切り落としたようなディスプレイなんだけど、この影響は電子書籍用途で使うときには結構ネガティブな要素になる。

特に厳しいのはマンガを読むとき。横持ちにして見開き表示にすると上下が狭いためにページ全体が圧迫されてしまい、画面の左右にかなり大きな余白が発生してしまう。

縦持ちにしてもこの通り。横持ち時と逆に左右が圧迫されて、画面上下に余白ができる。
iPad Proと比べるとその差は歴然。iPad Proの方が正方形に近いディスプレイだから、電子書籍は画面をほぼ目一杯使い切って表示できる。iPad ProとGalaxy Tab S8+には見た目の数値以上に電子書籍の表示サイズには差が発生していた。

マンガ以外にカラーの雑誌も似たような感じ。Galaxyは上下に大きな余白ができて、完全に画面サイズを持て余している。

一方でマンガとはアスペクト比が違うからか、横持ちにするとそれほどの差はなくなる。iPad Proも上下に少し余白ができてしまう。若干iPad Proの方が大きいけど誤差の範囲。
小説とかは画面をフルに使えるが…

逆に小説・ライトノベル・ハウツー本などテキスト型の電子書籍なら、Galaxy Tab S8+もちゃんと画面いっぱいに表示できる。だから両者互角ですね、とは残念ながらならない。テキスト型の書籍でもiPad Proの方が快適に読むことができた。

その理由としては視線移動の量を挙げたい。何度も語ってるようにGalaxy Tab S8+の方が細長いディスプレイだけど、もちろん目一杯表示される本の内容もiPad Proと比べると細長くなる。

その結果として視線の移動がどうしても多くなってしまう。例えば小説なら、右上の文字からスタートして一番下まで視線を動かして読んでから、次の行(つまりまた左上)に移ってあとはそれを最後まで繰り返していく。これが長い形状のディスプレイになると、
- 縦持ちの場合は1行あたりの視線移動の量が増える。
- 横持ちの場合は行数が増える(視線を一番下から一番上まで動かす回数が増える)
から、正方形に近いiPad Proよりも視線を動かす回数が増えてしまい、どうしても目が疲れる。横長ディスプレイの、カタログスペックに表れない思わぬ弱点を見つけてしまった。
100グラム軽いのは大きい
ここまでiPad Proを持ち上げる展開が多かったけど、もちろんGalaxy Tab S8+にも魅力的な点がある。なんと言っても軽い。iPad Proと比べて115グラムも軽い。iPad Proを1年ほぼ毎日使ってきたからこそGalaxy Tab S8+の軽さは感動した。

iPad Proは片手どころか両手でも長時間持ち続けるのは厳しいぐらい重い。基本的に机の上か膝の上に載せた状態で使っている。そうしないと手が痛くなるから。

Galaxy Tab S8+は圧倒的な軽さ(12.9インチiPad Pro比)のおかげで、片手でもそれほど長くない時間なら保持し続けることができる取り回しの良さがある。
あとGalaxy Tab S8+は特に縦持ち時は数値以上にiPad Proよりも軽く感じる。てこの原理で考えれば細長い形状だから重心が近くなり、負担が軽減されているんだと思う。横長ディスプレイにもこの通りメリットはたくさんある。
表示品質その他は両方とも文句なし

電子書籍の表示品質は両方ともハイエンドなだけあってケチをつける要素はない。素晴らしい完成度だと思う。解像度は高いから細かい文字が潰れたりせず高精細に表示されるし、明るく発色も良いからマンガやカラーの雑誌も綺麗に見れる。

性能は両方とも電子書籍リーダーとしては完全にオーバースペックだから処理落ちや動作のカクつきは一切なし。画面サイズ以外のハード的な実力は、iPad ProもGalaxy Tab S8+も両方とも電子書籍リーダーとしては完璧。というか過剰性能すぎる。贅沢。
【悲報】AndroidもKindleアプリ内で本が買えなくなった
そういえば電子書籍リーダーとしてのAndroidのiOSに対しての強み(というかiOSの弱み)として、Androidはほとんどの電子書籍アプリ内で直接本が買えるというものがあった。
iOSではApple純正の「ブック」アプリ以外(KindleやGooglePlayブックスなど)ではアプリ内で直接本が買えなくて、わざわざブラウザで購入しなければならないという弱点がある。これはアプリ内から直接デジタルコンテンツを購入させる場合に30%程度の手数料を要求しているAppleと、その高額な手数料に反発するAmazonとの対立によって発生している問題。そのためにこんな面倒くさいことになっている。
もちろんKindleに限らず全てのiOSのアプリは、Appleの作ったAppストアというインフラにおんぶに抱っこで提供しているわけで、ある程度の手数料は当然あるべきだと思うけど、それにしたって30%は流石に高い気がする。
対してAndroid端末では特に縛りなくKindleアプリ内で直接本を買うことができた。できた。

過去形になっているのは当然、今はもうできなくなったから。Googleのポリシー改定によって、先月からはAndroid端末でもKindleアプリでの直接購入が不可能になってしまった。残念。
【結論】画面の大きさはiPad Proだけど、Galaxyの軽さも捨てがたい
結論を出すと
- 画面の大きさ:iPad Proの勝ち
- 軽さ:Galaxyの勝ち
- 表示品質、動作の快適さ:引き分け
- アプリの使いやすさ:引き分け
4戦中1勝1敗2分で引き分けと言ったところかな。iPad Proの大画面は魅力的だし、電子書籍リーダーとして最適なアスペクト比のおかげで、マンガも雑誌も、テキスト中心の本も快適に読める。Galaxyはそちらの面ではやや劣るけど、軽さと細長い形状による持ちやすさ、取り回しやすさという魅力がある。
電子書籍以外の分野でも、引き続き検証してみたいと思ってる。
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