【14インチMacBook Pro 2021年モデル実機レビュー】圧倒的な総合力&MacOSが弱点

Mac

今までに2回MacBook Proのインプレッション記事を投稿したけど、今回の記事で一区切りをつけたいと思う。1ヶ月使い続けて感じたことを中心に詳細にレビューしてみたい。

前回までの記事

購入したモデル

購入したモデルの諸元は下記

MacBook Pro
画面サイズ14.2インチ(ミニLED)
画面解像度3024×1964
CPUApple M1Pro(8コア)
GPUApple M1Pro(14コア)
メモリ16GB
ストレージ512GB
バッテリー
駆動時間
ビデオ再生:最大17時間
インターネット:最大11時間
重さ1.6kg
USB-Aなし
USB-C
HDMI
価格23万円

8コアCPU・14コアGPUの最廉価モデルに、メモリやストレージの増強は一切行わない吊るしの状態で購入した。

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MacBook Proの超高品質なボディ

 ファーストインプレッションの頃から散々言い続けているけど、MacBook Proのボディ、ハードの作りは本当に凄い。24万円も出したことを微塵も後悔させない完成度には脱帽しかない。

ボディはアルミ削り出しで訳もなく触りたくなるぐらい触り心地がいいし、

ミニLEDディスプレイの画質も圧倒的で、しかも120Hzのリフレッシュレートだからカーソルの動きや画面のスクロールが60Hzとは比べものにならない程に滑らか。

キーボードは癖がない配列で打鍵感もいい感じ。

指紋センサーも感度良好。

もちろんバックライトもある。暗い部屋でタイピングする時ぐらいしか役に立つことはない気がするけどあるに越したことは無い。

タッチパッドも広くて感度良好。何より良いのは配置で、キーボードから自然と親指を伸ばせる場所にあるから手の移動がマウスよりもずっと少なくなる。

スピーカーはキーボードの左右に2つずつの全面4つに加えて、

吸気口を兼ねた底面のスリット2箇所の合計6つのスピーカーを搭載していて、並大抵のBluetoothスピーカーを圧倒するほどの音質を誇る。

拡張性もUSB-C3つに加えてSDカードスロットとHDMI端子、イヤホンジャックとMagSafeが備わっていて申し分なし。

欲を言えばフルサイズUSBが一つでもあれば嬉しかった。

最廉価とは思えないMacBook Proのパワー

ここからは実際にMacBook ProとM1Proの実力を各種ベンチマークを通じてテストしてみる。

対戦相手として、

  • 前のノートパソコン(YOGA Slim 750i carbon)
  • iPad Pro(M1搭載の2021年モデル)

の2台を噛ませ犬として召喚したから、これにMacBook Proを加えた3台で対決させる。

注意点として、温度計や騒音計は持っていないからそういう面については今回はスルーする。

MacBook Pro2021iPad Pro2021YOGA Slim 750i carbon
画面サイズ14.2インチ12.9インチ13.3インチ
画面解像度3024×1964
(ミニLED 120Hz)
2732×2048
(ミニLED 120Hz)
2560×1600
CPUApple M1Pro
(8コア)
Apple M1
(8コア)
Core i5-1135G7
GPUApple M1Pro
(14コア)
Apple M1
(8コア)
Iris Xe
メモリ16GB8GB8GB
ストレージ512GB256GB512GB
バッテリー駆動時間最大11時間最大10時間最大14時間
重量1.6kg0.682kg
(キーボードは別)
0.996kg
USB-A
USB-C313
HDMI1
価格約23万円約12万円
(キーボードは別)
約12万円

GeekBench5

まずはMacのベンチマークソフトの定番、GeekBench5から。

MacBook ProiPad ProYOGA Slim 750i carbon
CPU947671415059
GPU383302137615095

CPU性能はiPad Pro比30%、旧ノートパソコン比80%の上昇を見せた。それ以上に大きいのがGPU性能で、旧ノートパソコン比で2.5倍、iPad Pro比でも1.8倍のスコアを出している。

Cinebench R23

GeekBenchはそこまで時間のかからないテストだけど、10分間CPUをフルパワーで動作させるCinebenchは持久力も試される。

MacBook ProYOGA Slim 750i carbon
Cinebench R2395214374

iPad ProにはCinebenchが無いから旧ノートパソコンのみとの対決になるけど、こちらも旧ノートパソコンに2倍以上の差をつけて圧勝。しかもCinebenchの実行中に旧ノートパソコンは普通に耳障りなレベルでファンの駆動音が鳴り響いていたのに比べて、MacBook Proは最後まで一貫して静かな状態を保ち続けていた。

ファンが動いていない訳ではなく、MacBook Proも筐体の裏側に耳を近づければファンの駆動音が聞こえるんだけど、普通に画面を見つめている限りファンの音は聞こえなかった。

ただ旧ノートパソコンより高性能なだけでなく、より強力なパワーをより静かに発揮できる。この優れたバランスこそがM1系チップの最大の強み。

ベンチマークよりも遥かに体感の動作は凄い

ベンチマークでは圧倒的だったけどあくまで目安。実際に動かしてみてガッカリなんて展開も十分有り得る。ところがー

むしろ体感の動作のほうがベンチマークの結果よりも優秀なぐらい。スリープからの起動の圧倒的な速さ、120Hzの高リフレッシュレートなディスプレイ、そしてベンチマークに象徴される性能自体の高さが組み合わさることでパソコンの常識を覆すほどの軽快な動きを実現している。本当にスマホやタブレットのような軽快な動作がM1Macにはある。

ネット上の絶賛は全く間違っていない。M1チップはこちらの予想を上回る実力だった。

意外な弱さを見せる場面も・・・

そんなMacBook Proだけど意外と動作に不安を感じる場面も。写真編集ソフトの「GIMP」で画像をグレースケール化する処理を旧ノートパソコンと比較すると、なんとベンチマークスコアで2倍の差をつけている筈の旧ノートパソコンに遅れを取ってしまった。

なぜこんなことに?と思って調査してみたところ、GIMPはM1に完全対応しておらず、エミュレーションを介しての動作になっている模様。M1の登場からはまだ1年しか経っていないから対応できていないソフトはまだまだ多かった。

MacBook Proのバッテリー持ちについて

MacBook Proのバッテリー周りについて実使用での印象をまとめる。

普通に使うと10〜12時間ぐらい

公式サイト上の表記ではビデオ再生で17時間、ネットサーフィンで11時間のバッテリー持続時間を謳っているけど、実使用に近いのはもちろん後者の方。BGMを再生しながらブログを執筆していると大体10~12時間ぐらいのバッテリー持ちになる。(1時間で10%弱ぐらいバッテリーが減る感じ)

もちろん写真の編集などのもっと重い処理をさせると中々の勢いでバッテリーも減っていく。

手動でバッテリーを節約すればもう少し持つはず

 でもこれは一切遠慮しない使い方でのバッテリー持ち。ディスプレイの明るさを抑える、リフレッシュレートを120Hzから60Hzに下げる、低電力モードをオンにするなど、手動でバッテリーを節約していけばもう少しバッテリー持ちは良くなるはず。

いずれにしてもMacBook Proのバッテリー持ちは、14インチで1.6キロの高性能ノートパソコンとしては驚異的に良い。高性能・コンパクトさ・バッテリー持ちの相反する要素を極めて高いレベルで両立した。

30Wクラスの充電器でも十分使える

M1ProとMacBook Proはその性能からは驚異的な低消費電力を誇るけど、それは単純なバッテリー持ちの向上だけではなく充電器の自由度が高まる点でもプラスに作用する。

スマホ、タブレットの外出先での充電に最大30Wで充電できるこの充電器を使っているんだけど、MacBook Proはこの30Wの充電器でもブラウジング程度ならバッテリー消費を上回る勢いで充電することができる。(純正のアダプターは67W)

流石に写真編集のような重い作業は30Wだと充電されるより早くバッテリーが減ってしまうけど、30W以下の処理に戻ればまた充電される。利用方法を少し工夫すれば純正の巨大なアダプターを持ち歩く必要なく、スマホ用の小さな充電器だけでも十分持ち出すことができる。

その他MacBook Proの良かった点

ここまでに紹介したこと以外でMacBook Proの細かい良かったことをいくつか紹介。

指紋認証が高精度

まずは指紋認証の精度が高いのが嬉しい。ノートパソコンの生体認証には全く使い物になる事がない、ただカタログスペックを豪華にするためだけのものも一部にはあるけど、もちろんMacBook Proの生体認証は超快適。

指で触れた瞬間にロック解除されるし、精度も全く申し分なし。

ただ、個人的には顔認証も欲しかった。(後述)

直射日光の下でも使える明るいディスプレイ

最大輝度が非常に高いミニLEDディスプレイのおかげで、直射日光の下でもちゃんと使う事ができるほどのディスプレイの明るさが実現されている。

バッテリー持ちの良さや起動の速さも相まって本当に場所を選ばずに使う事ができる。

スリープからの起動がスマホ並みに爆速

事前情報でM1Macはスリープからの起動が早いとは聞いていたんだけど、マジでスマホと変わらないぐらいの爆速で、天板を開けるよりも画面が点灯する方が早いぐらい。

この起動の速さのおかげでスマホと同じぐらい気軽に使う事ができるし、パソコンを使うことに対する心理的なハードルがだいぶ下がったように感じる。

指一本で開く程開きやすい天板

地味なことだけどディスプレイが軽い力で開くのはすごく便利。ディスプレイ側に重心がありすぎるパソコンだと天板を開ける時にキーボード側を押さえないとうまく開けられなくて地味にストレスなんだけど、MacBookのように指一本で開けられるほど開けやすい天板なら細かなストレスを感じずに済む。

英数・かなの切り替えが独立している

これはMacBook Proに限らずMac全体に対して言えることなんだけど、英数とかなの入力切り替えがWindowsと違って独立しているのは良いことだと思う。

Windowsだとキーボード左上の半角・英数キーで切り替えるけどこれだと今どちらで入力しているのか、画面の表示を確認しないと分かりづらい。

それに対してMacBookはスペースキー左右の独立したキーで切り替えだから、入力する前にとりあえず入力したい方のキーを押しておけば間違えることなく入力することができる。

スクリーンショットが撮りやすい

同じくMac全体に対しての良かった点だけど、スクリーンショットが「Command+Shift+3」のワンアクションで撮ることができるのが良い。

WindowsだとPrtscで撮った画面をペイントアプリを開いて貼り付けて保存したりとか、DropBox初め外部アプリを使ったりとか一手間が必要になるんだけど、Macは初期状態でもスクリーンショットを手軽に撮ることができる。

しかも撮ったスクリーンショットはそのままデスクトップに保存されるし、撮影した直後にトリミングやマークアップなどの簡単な編集も行える。

地味に動画鑑賞デバイスとして強い

  • 超高画質ディスプレイ
  • 超高音質
  • 良好なバッテリー
  • 静粛性

この4つが高いレベルで備わったMacBook Proは地味に動画鑑賞用のデバイスとして有能だった。MacBook Pro購入後、iPad Proを動画鑑賞に使う機会が割と減少してしまった。

タブレットと違って単体で画面が自立するのも良い。

MacBook Proの不満な点・気になった点

逆に不満な点、気になった点は下記。

1.フルサイズUSBが欲しかった

正直MagSafeよりもフルサイズUSBの方が嬉しかった。フルサイズUSBが一つあればいつも使ってるマウスのレシーバーが使えたのに…

最近のノートパソコン界のフルサイズUSB排除の流れを考えると、もうフルサイズUSBとはお別れする方法を模索した方がいいのかも。

2.天板がもっと開いてほしい

ディスプレイの天板をもっと開けられるようになって欲しい。

MacBook Proはここまでしか開かない。これが限界。

これがタブレットにもなる2in1PCなら天板に角度をつけられない理由もわかる。タブレットPCはタブレット側が本体で、そちら側(つまりノートパソコン状態ならディスプレイ)にプロセッサーやバッテリー、冷却機構などの重量物が多く入っている。つまりタブレットPCは通常のノートPCよりもディスプレイ側に重心が偏っているから、ディスプレイ側の重みで倒れたりすることを避けるために天板がそれほど開かないのも仕方ないことだと思う。

でもMacBook Proは通常のクラムシェルノートパソコンなのだから、バッテリーをはじめとする重量物のほとんどはキーボード側にあるはず。重量バランス的にもう少し開いても大丈夫だと思う。

天板がもっと開けば、膝の上に乗せて使いやすくなるんだけど…

3.顔認証も欲しい

MacBook ProはWebカメラ画質とベゼルレス化の両立のためにノッチがついている。ノッチ自体はそれほど否定的ではないんだけど、せっかくノッチをつけたのなら顔認証があれば嬉しかった。

4.全体的に汚れが目立つ

黒のキーボードにスペースグレイの本体、鏡みたいに光沢の強いディスプレイを持つMacBook Proはとにかく汚れが目立ちやすい。とりあえずディスプレイは保護フィルムを貼ったけどそれ以外は定期的にウェットティッシュで清掃するぐらいで抜本的な対策はできていない。

黒いガジェットは汚れが目立ちやすいから定期的なクリーニングは欠かせない。

5.MacOS

ファーストインプレッションではMacBook Proは最高だけどMacOSは微妙であると書いたんだけど、その感想は1ヶ月使い続けて尚大きくは変化することはなかった。その大きな理由はOS自体の問題というよりはシェアの差に起因する絶対的なソフトの少なさ。

有名企業が作成しているメジャーなアプリならほぼWindowsと遜色ないぐらいの品揃えがあるんだけど、ネット上の有志たちが作っているフリーソフトは明らかに未対応なものが多い。やっぱり絶対的にユーザーの数が少ないからアプリを作っている人たちの数もWindowsよりも圧倒的に少なくなってしまうのだろう。シェアの差はこういうところで現れる。

上述したGIMPもそうだけど、特にそれほど規模の大きくないアプリ開発会社はただでさえシェアの少ないMacの、さらにそのまた一部でしかないM1Macへの対応はそれほど積極的ではない。Macを使うなら自分が使いたいアプリを使うのではなく、M1Macに対応しているアプリにこちらが合わせていくことも重要になる。

MacOS自体もまだまだ細かいところでは慣れない。

例えば、フルスクリーン化した状態からDockを呼び出すためには一度カーソルを画面の一番下まで持って行ってから、

タッチパッドを上から下になぞると呼び出すことができるんだけど、これの判定がかなり微妙。

結構高い確率でなぞってもDockを呼び出せない。Windowsのタスクバーと違ってDockはフルスクリーン化すると隠れてしまうのが使いにくい。

他にもファーストインプレッションでも指摘した画面分割の自由度の低さは厳しい。左右分割しかできないのはどうかと思う。右で情報を参照しながら左でのブログ執筆がやりにくい。

吊るしのモデルは意外と正解?

この8コアCPU・14コアGPUのモデルはそれほど注目されているように感じなかった。プロが使うには処理能力が物足りないし、一般人はM1で十分だし。

でも今回のMacBook Proが変わったのは性能以外にもたくさんある。端子の増加、ベゼルレス化して新しくなったデザイン、120HzのミニLEDディスプレイ。どれもプロじゃなくても欲しいものばかりでは?そんなプロ向けの機能を、一般人でもギリギリ気軽に手を出せる存在としての最廉価モデル、意外と美味しい存在かも。

性能も大型のゲーミングPCと比べない限りはノートパソコンとして十分高水準。雰囲気だけProを味わいたい人には23万から買える14インチMacBook Proの最廉価モデル、意外と良い選択肢では?

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