2年以上Windowsから離れていたせいで情報を集めることが減ってしまったけど、去年発表されたCore Ultraを改めて調査してみたら凄かった。性能と省電力性を高いレベルで両立していて、遂にWindowsにもM1Macに匹敵する選択肢が出てきたかもしれない。
と言うことで今回はCore Ultraがどの程度の実力を持っているのか調査していきたい。
Core Ultraは何がすごい?
そもそもCore Ultraは何が凄いんだろうか?とりあえずCopilotに聞いてみる。
もちろんです!インテル® Core™ Ultra プロセッサーは、新しいプロセッサーブランドであり、従来のCoreプロセッサーとは異なる進化を遂げています。以下に、Core™ Ultraプロセッサーの主な進化点を説明します。
- Intel 4 製造プロセス:
- Core™ Ultraは、Intel 4という新しい製造プロセスを採用しています。これにより、同じ面積に2倍のトランジスタを実装でき、電力効率も20%以上向上しています。
- 3Dパフォーマンスハイブリッドアーキテクチャ:
- Core™ Ultraは、従来の性能重視のPコアと効率重視のEコアに加えて、新たにSoCタイル内にも2基の低消費電力版Eコア「LPEコア」を搭載した3Dパフォーマンスハイブリッドアーキテクチャを採用しています。
- これにより、CPU負荷が小さく、LPEコアのみで処理が可能な場合は、コンピュートタイルの動作を停止でき、省電力動作を実現できます。
- Intel Arc GPU:
- 内蔵GPUは、単体GPUとして販売されているIntel Arcベースになり、従来のIris Xe Graphicsに比べてシェーダの数が33%増加しています。
- 実際のゲームでは、第13世代Coreに比べて9%~100%フレームレートが向上しているそうです。
- NPU (Neural Processing Unit):
- Core™ Ultraは、インテル初のNPU搭載プロセッサーです。
- NPUは、ディープラーニングで必要なニューラルネットワークの演算を高速に行う専用プロセッサーであり、AI処理性能を向上させます。
- CPUやGPUでもAI処理は可能ですが、NPUを搭載することでさらなる高速化が実現されています。
- 製品ラインナップ:
- Core™ Ultraは、「i」が付かないCore Ultra 9/7/5という製品ラインナップとなり、モバイル向けに提供されています。
- これにより、AI処理性能の高い「AI PC」が2024年のPC市場の目玉となることでしょう。
つまり新しい製造プロセスにより同じ面積により多くのトランジスタを実装することで消費電力あたりのパフォーマンスが向上し、性能重視のコアと省エネのコアをハイブリッドで実装することでパワーと燃費を両立し、GPUを大幅強化することである程度のゲームに耐えられるグラフィック性能をもたらし、AI専用のプロセッサーでAI処理能力をアップさせている。またこれらを別々の部品ではなく一つのチップに凝縮することで最適化し、総合的な性能や効率もアップしている。
これはAppleのM1チップとよく似た特長だけど、遂にWindows界隈にもM1のようにパワーと省エネを高次元で両立したチップが出てきた。消費電力あたりの性能が高いから従来のノートパソコンよりも高い性能を同じかそれ以下の消費電力で達成でき、消費電力が低いからバッテリーも冷却機構も小さくできる。だから薄く軽く、しかも高性能なノートパソコンになる。
Core Ultraの性能
そんなCore Ultraはもちろん一つではなく、複数のラインナップがある。
- Core Ultra5/7/9の3種のナンバリングがある
- さらにそれぞれのナンバリングはHシリーズとUシリーズに大別できる
- Hシリーズは性能重視、Uシリーズは省エネ重視
- さらにコア数やクロック周波数ごとに細かく分類される
全部紹介するのは面倒なので無理だから各自で調査して欲しいけど、とりあえず今回は省エネ型のUシリーズはどうやっても自分の要求とはずれてるので無視して高性能型のHシリーズだけを注目する。
Core UltraのHシリーズの一覧がこれ。多分上に行くほど上位だと思う
- Core Ultra 9 185H
- Core Ultra 7 165H
- Core Ultra 7 155H
- Core Ultra 5 135H
- Core Ultra 5 125H
でこの5種類のプロセッサーのベンチマークスコアを見つけられる限り探し出して、自分のM3 Proと比較してみる。(参考:https://www.cpu-monkey.com/ja/)
Cinebench2024 (マルチ) | GeekBench6 (マルチ) | |
Core Ultra 9 185H | 不明 | 11274 |
Core Ultra 7 165H | 不明 | 12545 |
Core Ultra 7 155H | 不明 | 12749 |
Core Ultra 5 135H | 847 | 10239 |
Core Ultra 5 125H | 847 | 10239 |
M3 Pro(11コア) | 916 | 14264 |
この結果はあくまでネットから拾ってきたもので使用する機種や環境などによっても大きく変わるからせいぜい参考程度。だけどこれをみる限りCore UltraシリーズのCPU性能はM3 Proと比べて若干下〜やや下ぐらいの模様。少なくとも乗り換えて恩恵を感じられるレベルとは言えないだろう。
ではグラフィック性能はどうだろうか?通常グラフィック性能はゲームのベンチマークなどが使われることが多いけど、Macはゲームが少ない性質上その手法での比較は難しい。と言うことでCPUと同じサイト(CPU-Monkey)から32ビットでの演算能力(単精度Flops)を調査してみる。演算能力はあくまで理論上の最高性能で、実際のパフォーマンスとは必ずしも一致しないけど一つの参考にはなると思う。
単精度GFlops | |
Core Ultra 9 185H | 4658 |
Core Ultra 7 165H | 4559 |
Core Ultra 7 155H | 4460 |
Core Ultra 5 135H | 4361 |
Core Ultra 5 125H | 不明 |
M3 Pro(11コア) | 4970 |
比較してみるとこの通り、CPUと同じでM3 Proより若干〜やや下ぐらいのグラフィック性能。GTX1650が2849GFlopsなことを考えると内臓グラフィックの性能としては驚異的。
と言いたいところだけどFlopsは理論上の性能、The比較さん(https://thehikaku.net/pc/other/23Intel-Meteor-Lake.html)が実際にゲームをした時のフレームレートを測定したデータを掲載してくれてるんだけど、そっちだとGTX1650より20〜30%程度低いフレームレートになっている。おそらく実使用では演算能力よりこちらの方が実態に近いデータになるだろう。
それでもGTX1650の7割以上の性能と考えれば内蔵グラフィックとしては十分すごい。ゲームでもしない限りグラボはいらないレベルだし、ゲームですらフルHD低画質ぐらいにすれば大抵は問題なく遊べるはず。
M3 Proには全体的にやや劣る
Core Ultraは確かに今までに比べれば順当以上の性能アップだけど、それでもCPUもGPUもM3 Proにはやや劣る。消費電力も搭載ノートパソコンを軽く調べたところ概ね65〜100Wでの充電で、これも70WのM3 Proには互角〜やや劣る程度。つまり現在のMacBook ProからCore Ultra搭載のWindowsに乗り換えても性能的には全くメリットがない、それどころか全体的に微妙に負けてるので不便にすらなる。しかもCore Ultra搭載PCは出たばかりなこともあって全体的に高い。安いやつでも13万ぐらい。流石にノリと勢いで手を出す気にはならない。だから乗り換えない、と言いたい所だけど…
MacBookはWindowsではないのがダメ
何度も何度も言い続けている通りMacはWindowsでないことが唯一にして致命的な不満なんだ。全体的に微妙にOSの使い勝手が悪いし、対応しているアプリも少ない特にゲーム。いくらハードの完成度が最強でもWindowsじゃないのが致命的すぎ。
だからこそWindows界のMacBookとでも言うべきノートパソコンがあればそれが最高の選択肢なんだ。残念ながらそれに期待して買ったSurface Laptop Studio(先代)はMacBookの足元にも及ばなかったけど、Core Ultraによってそれが現実になっている…と信じたい。
なんか締まりのない文章になってしまったように思うけど、次回はCore Ultra搭載ノートパソコンを自分だったらどう選び、どう運用するか、どんな機種があるのか調べていきたい。
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