SwitchはJoy-Conのおかげで携帯機としても据え置き機としても使える柔軟性があるけど、この柔軟性の実現のために犠牲というか妥協を強いられてる部分もかなり多い。その一つが携帯モード時の快適性。
ということで1月末のAmazonセール時に携帯モードの操作性を上げられないかとホリのグリップコントローラーFitを購入して2ヶ月ぐらい使ってみたのでレビューする。
【結論】完成度は最高だけどSwitchの長所を潰すのがダメ
最初に結論から。グリップコントローラFitはゲーム周辺機器メーカーとして圧倒的な知名度を誇るホリの製品なだけあって純粋なゲームパッドとしての完成度は最高。Joy-Conをその点では全てにおいて圧倒していると言っても良いぐらい。
だけどSwitch用として考えるとSwitchの強みである携帯・テーブル・据え置きの3つのモードをシームレスに使い分ける柔軟性の高さと致命的に相性が悪い。それにジャイロセンサーもないので一部のゲームだとむしろJoy-Conより使い勝手が悪い場合もあり、僕のスタイルにはあまり合わなかったって話になる。ちなみに長文苦手な人と時間がない人はここから先は読まなくても大丈夫。
グリップコントローラFitの特徴
ここからはそんなグリップコントローラFitの特徴をJoy-Conと比べながら見ていく。
まず目を引くのがサイズ。Joy-Con装着時より明らかに大きくなる。装着時のサイズはもはやSteam Deckのそれに近い。
Joy-Conのように薄い板みたいな形状ではなく下がやや膨らんだ丸みのある形状なので非常に持ちやすい。厚みも適度にあるのであまり力を込めなくても握りやすいから長時間のプレイでも疲れにくい。
ボタン配置は基本的にJoy-Conのそれと同じだけど、細部には長時間のプレイに配慮した工夫がある。
例えば左右のスティックと十字ボタン&ABXYボタンの配置。
Joy-ConはABXYボタンの真下にスティックがあるのに対してグリップコントローラFitはプロコンやPSコンと同じように少し斜め下に配置されてる。この配置の方が自然にABXYから左スティックに親指を動かせる。Joy-Conは多分小型化のために妥協したんだろう。
スティック自体もキノコみたいに膨らんだ形状のJoy-Conと違い表面が少し窪んでいて指が滑りにくいようになっている。
ボタンのサイズも大きく、十字キーが分かれたボタンではなく通常のキーになっている。
全体がツルツルしてるJoy-Conと違ってグリップコントローラFitは裏面は少しざらざらしている。この感触が適度な抵抗になるおかげで持ちやすさに貢献する。
割り当て可能な連射機能と背面ボタンも備えてる。
Joy-Conみたいにワイヤレス接続時に光りそうなランプとペアリング用のボタンのような物があるけどこれはダミーで実際には使えない。
なのでJoy-Conのように本体から分離させて使ったりすることはできない。あくまでも携帯モード専用。
なぜ微妙なのか?
とまあグリップコントローラーFitは純粋なコントローラとしての完成度は非常に高い。なのになんで僕は微妙という判断を下したのか。その理由は下記の4つ。
- ジャイロ機能などがない
- 携帯モードでしか使えない
- でかい
- Switchの長所を潰してしまう
ジャイロ機能などがない
まずこれ。ジャイロ機能がないのはこれを積極的に使うゲームが多い任天堂の純正タイトルで特にダメージが大きい。例えばゼルダではジャイロを使って弓の照準や望遠鏡の操作を微調整することが割とよくあるのでジャイロ非搭載は意外にしんどい。
携帯モードでしか使えない
携帯モードでしか使えないのもきつい。Joy-Conなら本体から切り離して使えるので例えば本体はスタンドで立たせてJoy-Conを両手で持って遊ぶとかができなくなるのが厳しい。
一応プロコンがあればこの問題は回避できる。
でかい
グリップコントローラFitをつけるとJoy-Con装着時よりもかなりサイズが大きい。そのサイズはもはやSteam Deckと遜色なく、流石にこれを持ち運ぶ気にはなれない。そういう意味でJoy-Conのサイズは最低限ちゃんと使える操作性を維持しつつギリギリ持ち運ぶ気にも慣れる、かなり考えられたサイズ感だなと感心させられた。
Switchの長所を潰してしまう
上記3つの総括のような形になるんだけど、グリップコントローラFitの問題はSwitchの長所が潰れてしまうことになる。確かに操作性は快適になるけどそのせいで大型化しせっかくの携帯機なのに携帯性が低下し、ジャイロがないせいで一部のゲームはかえって不便になり、シーンに合わせて形を変えることもできない。
せっかく完成度高い本家のコンセプトを否定してしまうのはあまりにもきつい。
携帯モードに特化した周辺機器
純正のJoy-ConとSwitchは実際に「据え置きと携帯と体感ゲームの融合」を果たしていると言える。あれは合体させて携帯ゲーム機として使えるし、分離して両手に持てばWiiのようなギミック路線のゲームにも対応できるし、テレビ出力して据え置きゲーム機としても使える。
それに比べるとグリップコントローラFitは良くも悪くも「携帯ゲーム機」であることに特化させる周辺機器だなと思った。Joy-Conが融合を果たすために諦めたもの(例えば持ちやすさや操作性)をこっちは諦めている。その代わり、Joy-Conの強みである携帯モード以外の汎用性をこちらは諦めてる。
汎用性が弱くなってしまう時点で僕がSwitchに求めるものとはだいぶズレるので、残念ながらグリップコントローラFitのマイ評価は微妙ということになってしまう。多分携帯モードメインでジャイロなどSwitch固有の機能をほとんど使わない人であればハマると思うけど、こうして文字にするとだいぶ層が限られることがわかる。幸いセール時で4000円以下と純正Joy-Conより安いのでノリと勢いで買ってみるのはアリかもしれない。
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