Nintendo Switch2レビュー【2というよりPro?】

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8月になってもまだ抽選販売がメインで入手困難な状態が続いているNintendo Switch2。ありがたいことに7月に入る前に入手に成功することができた。初代SwitchといえばWiiUが大失敗し、携帯機もスマホの台頭でジリ貧という状況で発売されたゲーム機でもあった。

当時の任天堂は勢いのあるメーカーとはどう贔屓目に見てもいえないというか、言葉を選ばずに言えばオワコン寸前と見られてた。そんな状況で出てきた据え置きと携帯のハイブリッドゲーム機は年齢を問わず世界的に大ヒット。世界累計で1億5300万台はDSに並んで任天堂史上2位、というかあと少なくとも1〜2年ぐらいはSwitch2と共存する可能性が高い事を考えれば1位になることはほぼ確実とすら言える。

USJのマリオとか映画などゲーム以外のメディアミックスを積極的に行う余裕もできたりと、業績的にも雰囲気的にも任天堂復活の原動力になった傑作機だった。

そんな成功作だからか、任天堂機では非常に珍しいナンバリング形式の次世代機でもあるSwitch2を3ヶ月弱遊んでみたのでレビュー記事を書いていきたい。

Switch2のスペック

Switch2の主なスペックを初代の有機EL版と比較した結果が下記。

Nintendo Switch(有機EL)Nintendo Switch2
ディスプレイ7インチ液晶7.9インチ液晶
解像度1280×7201920×1080
プロセッサーNvidia TegraX1Nvidia T239(推定)
GPU演算能力TVモード0.39Tflops
携帯モード0.15Tflops
TVモード3.072Tflops
携帯モード1.71Tflops
メモリ4GB12GB
ストレージ64GB256GB
バッテリー持続時間4.5〜9時間2〜6.5時間
重量(Joy-Con含む)420g534g
拡張性microSD×1
USB-C×1
microSD Express×1
USB-C×2
価格37980円49980円

流石に物価高の影響もあってかなり値上がりしたけど辛うじて5万を切る価格で踏みとどまった。

Switch2の先代よりかなり洗練された外観

初代と基本的な形状は同じだけど、明らかに洗練されて高級感すら感じられる(実際初代より2万も高いんだが)デザイン。

何と言ってもデカい。初代Switchも3DSとかVitaと比べると一回り以上デカくてこんなの携帯できないだろっていう否定的な意見がそこそこあった。のに8年間の間にSteam Deckなど携帯型ゲーミングPCが台頭したおかげで今やSwitchは小型扱い。

画面サイズは初代の6.2インチや有機EL版の7インチから7.9インチに拡大。有機ELではないのが寂しいけど普通に綺麗な液晶だし120Hz化や解像度の向上(720p→1080p)とHDRで充分お釣りはくる。多分3年ぐらいしたらマイナーチェンジとして有機ELモデルが出るんじゃないかと思ってる。

ベゼルは流石に有機EL版や最新のスマホと比べるとそこそこ太い。けど本体サイズが大きい分体感ではそれなりにマシに見えるのは救い。

Steam Deckと比べると正面から見たサイズは近いけど厚みがかなり違う。重さも100gぐらいSwitch2のが軽いので持ち運びはこちらが優勢。ただSteam Deckはカメラグリップのように手で自然に握れる形状だし、一体型の携帯ゲーム機ということもあって重量バランスも良いので意外と長時間持ってても疲れない。逆にSwitch2は初代と同様真ん中が重い感じがどうしてもあり長時間の保持は結構きつい。幸い画面サイズが大きいのでそんなに顔に近づけなくても充分以上の臨場感があるから膝の上に乗せたりテーブルモードを活用したりして対応しよう。

スタンド。初代の初期型はつっかえ棒みたいな細くて不安定で角度も固定式のおまけみたいな代物だったがSwitch2はSurfaceみたいに無段階の調節が可能な本格的なやつ。ただしちょっと細すぎなので耐久性は心配。

スタンドの裏にmicroSD Expressカードスロットがある。従来のmicroSDは使えない(初代Switchからのデータ移行には使える)ので注意。microSD Expressはまだ結構な値段なのでSwitch2への採用で少しでも普及して価格が下がることを祈りたい。

上面の音量ボタン、電源ボタン、排気口、イヤホンジャックは初代と似たような場所。だけどType-C端子が一つ追加されたので充電が便利になった。

スピーカーも位置は初代と同じ。なんだけどヤバい程音質が向上してる。これホントに本体の左右に2つしかスピーカー付いてないの?上面と背面の吸気口にも隠れてない?って疑いたくなる程の音が出てくる。正直下手なBluetoothスピーカーよりも音質は良いんじゃないかとすら感じる。

ジョイコンのボタン配置も初代と同じだけど、ボタンは明らかに大きく、押しやすくなっている。

LRボタンも同様。初代と比べて一般的なゲームパッドに近いサイズになった。

初代ではドリフト問題など悪名高かったスティック。物理的に接触しないため耐久性が高いホール効果スティックの搭載が期待されたけど残念ながら見送り。一応耐久性は向上してる(by任天堂)らしいので数年後どうなるか気になる。

ちなみに耐久性の話以外でスティックに特筆する点があるとすればスティックを動かした感触が明らかに滑らかになった。初代ジョイコンのスティックはグリグリ回すと何と言うかゴロゴロ引っかかる感触があったけど2のジョイコンはそれが無くなって一般的なゲームパッドのスティックと同じように引っかからず滑らかに動かすことができる。

ジョイコン2は基本コンセプトは初代と同じ。本体に装着してでかい携帯ゲーム機として使ったり、片手づつ左右持ちしてWiiリモコン+ヌンチャクみたいに使ったり、標準装備のグリップにはめて簡易的なゲームパッドとしても使える。

Joy-Con横持ちで使う時用のSL\SRボタン。初代は本当に一応あるって程度の小さくて押しづらいボタンだったけど今回は大型化してだいぶまともに押せるようになった。

まあどちらにしても横持ちでのゲームはボタン数が少なすぎるので実用性は低いけど。

Joy-Conを独立した状態で使う時用のストラップ。初代は特に外す時は力で無理やり引っ張るというあまり賢いとはいえない脱着方法だったけど、今回は装着も取り外しもマグネットでワンタッチで終わる。楽だし見た目も良い。

初代にあったモーションIRセンサはひっそりと消滅。ただこれをまともに活用したゲームは任天堂の自社タイトルでさえ皆無だったのでしょうがない。個人的にはXboxがかつて推してたキネクトの簡易版みたいな使い方ができそうな気がしたんだけど。

Switch2用の新しいドック。充電とテレビ出力、有線LAN接続を行えるという点は初代のドックと全く変わらないけど、全体的に丸みを帯びた形状になり、底面のゴム足が強化されたのかスイッチ本体を抜き差しする時にそれに釣られて動くことが少なくなった。

https://www.youtube.com/watch?v=83WkfP6eepg&t=717s

冷却ファンも搭載されてるけど分解動画を見た感じファンはかなり小さい上、本体の熱源からは離れた場所にあるようなので本体の冷却にはあまり役に立たなそうな気がする。本体を冷やすというよりドック内部の冷却用なのかもしれない。

充電器は60W。先代の充電器は39Wだったけど性能向上の分消費電力も上昇してるらしい。ただ充電器自体のサイズはむしろ先代より小型になっていて、8年間でのUSB充電器の性能向上を感じさせる。なんならAmazonを探せばこれより小型で同等以上の出力の充電器だってある。

ちなみに初代からのデータ移行はスマホでQRコードを読み取ることで結構簡単にできた。この辺りも2020年代のゲーム機らしい良い進化点。

実際に遊んで良かったこと&気になったこと

ということでここから実際に2ヶ月弱遊んでよかったことと気になったことをまとめていきたい。

大画面+フルHD良い!

Switch2の性能以外で一番わかりやすい進化点がこれだと思うんだけど、とにかく大画面化と解像度の向上が良い。自分は途中で7インチの有機EL版に乗り換えてるので僅か0.9インチの拡大ではそこまでの感動はないんじゃね?と少し舐めていたけどこの予想は良い方向に裏切られた。

初めてゲームを始めた時の画面の大きさには本当に驚いた。良い意味で携帯ゲーム機で遊んでいる感がゼロ。携帯モード時でもノーマルPS4並まで向上した性能やスピーカーの音質アップも相まって携帯ゲーム機というよりは据え置きゲーム機を持ち運んでいるような感覚に近い。

画面が大きくなった分以上の解像度向上も嬉しい。正直携帯ゲーム機は720pあれば十分だろと思ってたけど、やっぱり720pと1080pではゲーム内の文字の滑らかさとか遠景の解像感が全然違う。多分先代と同じぐらいの画面サイズなら720pでも十分だったのかもしれないけど、大画面化したおかげで解像度向上の恩恵を感じられた。

マグネットでのJoy-Conの脱着が良すぎる

これは実際に買った人しか理解できないと思うんだけど、マグネットでのジョイコンの着脱が良すぎる。初代のレールでの脱着よりも軽い力で着け外しできるし、装着時の安定感も高いけど何よりもマグネットでの脱着の心地よさが最高。なんというか意味もなく付けたり外したりをしてしまう良さがある。正直今回のSwitch2は良くも悪くも初代の改良というか正常進化って感じで、いわゆる任天堂らしいギミック的な新しさは抑えめだけど、このマグネットによる着脱からはしっかりとそれが感じられる。

装着時の安定性も運動不足の成人男性(自分のこと)が多少引っ張ったぐらいではびくともしない優れもの。唯一小さい子供が間に指や皮膚を挟んだりしないかだけが心配。

テーブルモードが実用的になった

以前にXでも投稿したんだけど、Switch2の地味に良い点としてテーブルモードが実用的になったことを挙げたい。初代は画面サイズの小ささとスタンドの自由度の低さもあって携帯モードよりどうしても画面との距離が遠くなるテーブルモードは一応そういうことができますよって程度のもので実用的とは言えなかった。けどSwitch2は画面の大型化と高解像度化に加えてスタンドが無段階調節可能な安定感のある物に進化したおかげでテーブルモードでも十分迫力のあるゲーム体験ができるようになった。

なんなら携帯モードだと初代より100g重い分長時間保持するのは手に優しくないので、手に優しいテーブルモードのお世話になることはかなり増えてる。

既存のSwitchゲームも性能向上の恩恵あり

PS5とかでは既に同様の機能があるけど、Switch2では既存のSwitch用ゲームもより快適に遊べる。ゼルダのようにSwitch2エディションがあるゲームならゲーム体験そのものにも変化があるけど、そうでないゲームでも解像度の向上や処理落ちの低減、ロード時間の短縮などがある。

いくつかのゲームでロード時間の変化を検証してみた結果がこちら。

SwitchSwitch2
ゼルダBoW
タイトル画面まで17秒7秒
タイトル→ゲームまで31秒11秒
マリオオデッセイ
タイトル画面まで68秒20秒
タイトル→ゲームまで41秒4秒
Factorio(タイトルまで)103秒46秒
マリオ3Dワールド
タイトル画面まで6秒4秒
タイトル→ゲームまで9秒6秒
シティーズスカイライン
タイトル画面まで54秒21秒
タイトル→ゲームまで57秒11秒
※1ゼルダBoWはSwitch2エディションを適用した状態で比較。マリオ二つはSwitch2に対応した無料アプデを適用した状態
※2シティーズスカイラインは75000人程度の規模の街をロードした時の時間を計測

このようにゲームにもよるけど概ね半分以下〜それ以上のロード時間の短縮効果がある。

せっかく現行家庭用ゲーム機は全機種がほぼ完全な後方互換があるのでこういう旧世代のゲームをより快適な環境でできる機能はもっと増えてほしい。

マウス機能は面白いけどまだ未知数

先述の通り今回のSwitch2は良くも悪くも初代の改良というか正常進化って感じで、いわゆる任天堂らしいギミック的な新しさは抑えめだけどそんな中で特徴的なギミックがジョイコンのマウス化。

Joy-Conのサイドボタンを底面にして滑らせることでマウスのような使い方ができる。ちなみにショルダーボタン(LR/ZLZR)がマウスの左右クリック、スティックが中央のスクロールホイールに相当する使い方になる。

結論から言えば思っていたよりずっとマウスとしてはちゃんと使える。んだけど、現状ではまともに対応してるゲームがほとんどない。ひみつ展のミニゲームでいくつかマウスを使うものがあったぐらい。それとJoy-Conはパソコンのマウスと違ってアイスキャンディーみたいな形状で、どうしても自然な形で握りづらい。細い分どうしても握るというより摘むような感じで手に余計な力が入りやすい。

先のひみつ展のミニゲームぐらいなら良いけどこれで長時間遊ぶのは厳しいと思う。Joy-Conに外付けしてマウスっぽい形状にすることで握りやすくする周辺機器が出てきたら欲しいなと思うし、マウス機能を活かせばPCゲーム(特にシミュレーションゲームのようにコントローラよりマウス中心のゲーム)の移植が捗ると思うのでマウス機能は未知数だけど期待したい。

ストレージ256GBの増量も良い

ストレージが標準で256GBに増えたことも評価したい。初代は初期型32GB、有機EL版64GBでパッケージ版メインの使い方でも内蔵ストレージだけでは厳しいレベルだったけど、Switch2は内蔵で256GBあるおかげでだいぶ余裕が生まれた。

自分の場合もSwitch2向けのタイトルをまだマリオカートしか入れてないこともあって現状は内蔵ストレージだけでやりくり出来ている。まあ残り50GB以下なので年末までにはmicroSD Expressのお世話になりそうだけど。

eショップが軽くなった

最後に地味な改善点としてeショップが大幅に軽くなったことを評価したい。初代Switchのeショップは性能の限界からか通信速度制限のかかったスマホ並にあらゆる動作が重くてストレスだったけど、Switch2のeショップはちゃんとSteamとかPSストアと遜色ないレベルにストレスフリーになった。まあ初代のeショップが酷すぎただけな気もするけどそれでも評価したい。

【不満点】バッテリー持ちが良くない

Switch2の唯一にして割と致命的な問題がバッテリー持ち。結構不安になるぐらいの勢いで減っていく。カタログスペック上も初代よりある程度悪化してるので覚悟はしていたけど、マリオカートワールドを2時間遊んだだけで充電したくなる程度には悪い。もう少し軽めのゲームならマシになるけどそれでも4時間持てばいい方。初代の初期型もこのレベルのバッテリー持ちだったので(途中でバッテリー持ちが改善されたマイナーチェンジ版に切り替わった)改良に期待したい。

今は2というよりSwitch Pro、これから本当に2になって欲しい

Switch2は成功作の次世代機ということもあって任天堂機にはかなり珍しいキープコンセプトなゲーム機になっている。真新しい機能は面白いけど未知数なマウス機能ぐらいでそれ以外は先代の弱点潰しと長所伸ばしがメイン。まだ発売直後なせいもあって次世代感はちょっと薄いけど、全体的にちょっとずつ良くなっているという点では何度も噂されながら遂に出ることなくSwitch2を迎えたSwitch Proのように感じる。

正直現状のSwitch2は次世代機というよりはProモデルって感じで、初代を全体的に快適にした上位モデルって感じ。もちろんそれはまだゲームが出揃ってないからという話で、これからSwitch2の性能や機能を活かした魅力的なゲームが出ることで、Proから本当の意味で2になるんじゃないかと思う。もちろん初代Switchのゲームがより快適な環境でできるというだけでもゲーマーからすれば十分すぎるほど価値があるので、これからに期待しつつまずは初代Switchで積んだゲーム達を消化していきたい。

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