ROG Xbox Ally Xレビュー【想像以上に”ゲーム機”だった】

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Steam DeckにLossless Scalingを導入してからしばらく様子見してたROG Xbox Ally。だったんだけど家電量販店で展示されていたAllyを試遊して文字通り一目惚れ。14万のゲーム機を半ば以上衝動買いしてしまった。そこにあるのがいけない。自分は悪くない。

正直発表当初は取って付けたみたいなコントローラ部分野暮ったいなとか、Windows由来のゲーム機としての問題点は他のゲーミングUMPCと同じで根本的には解決されてないのでは?とかあまり期待値は高くなかったんだけど、発売当初のYoutuberのレビュー動画と何より実際に量販店で展示されてた個体を試したことで認識は一変。

今回はそんな久々に衝動的に買ってしまったROG Xbox Ally X(名前長すぎ)のレビューをしたいと思う。

ROG Xbox Ally Xのスペック

ROG Xbox Ally Xの主なスペックを我が家の携帯ゲーム機3台と比較したのがこれ

ROG Xbox Ally XSteam Deck(LCD)Nintendo Switch(有機EL)Nintendo Switch2
ディスプレイ7インチ液晶7インチ液晶7インチ液晶7.9インチ液晶
解像度1920×10801280×8001280×7201920×1080
プロセッサーRyzen AI Z2 ExtremeAMD APUNvidia TegraX1Nvidia T239(推定)
GPU演算能力最大5.53Tflops1.6TflopsTVモード0.39Tflops携帯モード0.15TflopsTVモード3.072Tflops 携帯モード1.71Tflops
メモリ24GB16GB4GB12GB
ストレージ1TB256GB64GB256GB
バッテリー持続時間2〜8時間4.5〜9時間2〜6.5時間
重量(Joy-Con含む)715g669g420g534g
拡張性microSD×1 USB-C×2microSD×1 USB-C×1microSD×1 USB-C×1microSD Express×1 USB-C×2
価格139800円59800円37980円49980円

スペックも値段も高すぎる。

ROG Xbox Ally Xのダサいが実用性は高い外観

最初にデザインは野暮ったいと言ってたけど正直気に入って使ってる今でもデザインへの印象は変わらない。取って付けたようなコントローラ周辺はぼってりした印象で格好良いとは感じられない。

けどXboxのノウハウを活かしてるとされるだけあって見た目はダサいけど操作性は抜群。単にコントローラ形状を模しているのではなく左右両端は手の形状に合わせて平坦ではなく曲面になっているし、これとグリップも合わさってホールド感は抜群。

手の全体を使ってしっかり握れる上、分解動画を見たところバッテリーなど重さのある物体はボディ下部に集中させてるおかげで重い携帯機を持った時特有の手がゲーム機の重さに引っ張られるような感覚もなく、700g越えとは思えない良好な持ちやすさ。

高性能と大容量バッテリーの影響で厚みがやばい。Switch2と比べるとこれ。最早弁当箱。

でも正面から見た時のサイズ感はSwitch2と同じぐらい。初代Switchでも当初はデカ過ぎると言われてたはずだけど携帯ゲーム機の巨大化はどこが天井になるのか…

ボタン配置もXboxコントローラーのそれを踏襲してる。Switchと比べると良くも悪くも据え置きゲーム機のゲームパッドに近い感触。ボタンはどれもかなりクリッキーというか”押した感”が強い。トリガーの方はアナログなんだけど、なんとトリガーにも振動機能が備わってる。PS5のコントローラみたいに銃を撃ったりレースゲームでアクセルやブレーキを踏む際に適度な抵抗感があって臨場感がかなり高まる。

流石にPS5コンみたいに物理的に重くなったみたいな感触までは再現されないがそれでも結構ゲームへの没入感は高まる。ちなみにこれは上位モデルのX限定らしい。

スティックはラバーっぽい加工で滑りにくい。ただホールセンサは採用されてないようで残念。据え置き機やSwitchと違って一体型の携帯ゲーム機たるROG Xbox Allyはコントローラーの死=本体の死なので耐久性は頑張って欲しい。こればかりは数年単位で使い込まないとわからない。

背面には任意で割り当て可能なM1、M2ボタン。上半分はほとんどが吸気口になってる。グリップやトリガーには滑り止め加工がされてるのも良い。

インターフェースは上部に集中してる。

右からType-Cが2つ。このうち片方はUSB-4に対応してて、充電だけでなく映像出力や外付けGPUによる更なるグラフィック性能の強化もできる。この端子を起点にType-Cハブを使ってモニターと外部電源(更にはGPUも)に接続し、コントローラーやキーボード、マウスを繋げればデスクトップPCや据え置きゲーム機のようにも使うことができる。凄い、けどここまでやるならデスクトップPCで良い気がする。

Type-C端子の隣は電源ランプと音量調節ボタン、microSDスロットとイヤホンジャック。

最後に電源ボタン。これは指紋認証センサーも兼ねてるけど精度、速度ともに充分でスマホ並みとまでは行かないがパスワードを入力するよりはかなり楽。

逆に下部にはびっくりするほど何もない。正直2つあるType-Cのうち一つは下部にあった方が良いと思う。

ディスプレイはフルHDで120fpsにも対応。ただHDRには非対応。

スピーカーは左右2つ。音質はかなり良い。指で覆われない位置にありかつ正面にあるのでダイレクトに耳に届く。なんというか左右にしかないのに立体感を感じるのが凄かった。可能な限りスピーカーで遊ぶことをおすすめしたい。

同梱物は65Wの充電器とスタンドだけでかなりシンプル。ちなみにこのスタンドは紙製でかなり耐久性は疑問。余程物持ちの良い人じゃないと半年以内に失くすか壊しそう。

実際に遊んで良かったこと&気になったこと

”ゲーム機”として使える

ROG Xbox Allyの素晴らしい点はスペックが高いから最新のAAAゲームを遊べる、ことよりもカスタマイズされたWindowsのおかげでコントローラで基本的な操作が完結できる、スリープの安定感の高さなど、ゲーム機として快適に使えることが大きい。

Steam Deck以前も以後もWindowsのゲーミングUMPCは出ているし、最近ではSteam Deckより性能自体は高い製品も増えているけどそれでも食指が動かなかった最大の理由が、ゲーム機としてはあまり洗練されてないことだった。

具体的にはWindowsのデスクトップがそのまま表示されたり、コントローラでは思うように操作できなかったり、ランチャーなどを使ってても所々でタッチやマウス操作が必要になったり、どうも後付け故の不安定さがある。他にもWindows共通の問題としてスリープモードが安定しなくて、放置するとズルズルバッテリーが減ったりスリープから復帰すると思うようにゲームが立ち上がらなかったり、

SwitchやPS5では当たり前にできるスリープ運用ができないのがゲーミングPCがゲーム専用機に性能や遊べるゲームの数では勝っても主役になりきれない最大の理由だった。

それに対してROG Xbox Allyは”Xboxフルスクリーンエクスペリエンス”という通常のWindowsをゲームに最適化したモードが搭載してこの問題を割とかなり解決している。

具体的にはまずコントローラで基本的な操作が完結できる。

デフォで立ち上がるXboxアプリはもちろん十字ボタンやスティックで選択したり画面を移動できるし、Aボタンで決定したりBボタンでキャンセルできる。

Xboxボタンを押すとクイックメニューみたいなのが立ち上がってここから各種設定とか、パフォーマンスの調整、スクショの撮影、管理、音量のコントロール、そして役に立つかはともかくAIチャットなんかも使える。

同じくXboxボタンを長押しでスマホみたいに起動しているアプリがタイル上に表示されるので、ここからLRボタンでアプリの切り替えや終了、ストアへの移動なんかもキーボードやタッチに頼らずコントローラだけで完結できる。

このコントローラを握ってる途中で唐突にタッチを強要されたりしない、というのは一見些細な問題に見えるけど毎日使ってるとボディブローのように効果が出て、本機を携帯ゲーム機風PCではなく本当の携帯ゲーム機たらしめている要素の一つ。ちなみにゲームに関係ない動作を止めることでメモリの使用量も削減してるらしい。

そしてもう一つ推したいのがスリープの安定性。とにかくWindowsとは思えないほど安定したスリープにとにかく驚いた。

これは一度でもWindows PCを使ったことある人ならわかってくれると思うんだけど、Windowsってとにかくスリープが不安定なんだ。スリープしたと思ったらいつの間にかシャットダウンに近い状態になってたり、ちょっとマウスに触ったら唐突に復帰してしまったり、そもそも画面がオフになっているだけなのでバッテリーがズルズル減ってしまったり、スマホは言うまでもなく、同じパソコンであるMacと比べても明らかに安定しない。

はずがROG Xbox Ally Xは信じられないほど安定したスリープを実現してる。具体的にはForza Horizon5を起動したままスリープしてそのまま寝ても、翌朝起動したらちゃんと再開できるしバッテリーは10時間で4%しか減らないレベル。

スマホやSwitchと同じような感覚で使えるゲーミングPCと考えればヤバイし、Windowsでもここまでできるのかと感動した。ちなみにXboxフルスクリーンエクスペリエンスから普通のデスクトップに行くこともできるけど、そこからフルスクリーンエクスペリエンスに戻るには再起動しないと本来のパフォーマンスが出せないらしい。その辺も含めて通常のWindowsと異なる挙動をしてると言えるのかもしれない。

携帯ゲーム機としては破格の性能

そしてもちろん最新ゲームを難なく遊べる馬力も素晴らしい。特にGPU性能は浮動小数点演算能力で5.53TflopsもあってSteam Deck(1.6Tflops)やPS4(1.84Tflops)と比べて約3倍、PS5(10.25Tflops)と比べても大体半分ぐらいある。

要するにPS4世代のゲームは全然余裕で動くし、PS5世代のゲームでもグラフィックを多少妥協すれば十分動く。なんならPS5世代のゲームって4K解像度が基本なのでROG Xbox Allyのディスプレイに合わせたフルHD解像度までなら割と高めの設定でも60fps出せる。

例えばゲームパスで遊べるForza Horizon5はフルHD高品質設定でさらにバッテリー持ちを優先してパフォーマンスモードで遊んでも60fps近く出るし、Steam DeckだとLossless Scalingを駆使してギリギリだった鳴潮もフルHD低設定ならパフォーマンスモードでもlossless Scalingに頼らずして60fps近く出せる。

デスクトップのゲーミングPCと違ってCPUとGPUは一体なので24GBのメモリを共有する仕組みになってる。CPUとGPUへの割り当てはある程度任意で決められるんだけど下位モデルの16GBと違って24GBもあるのは嬉しい。これならGPU側に8GB割り当ててもまだCPUではWindowsを快適に動かせる16GBを使えるので良い。最新ゲームでもフルHDまでならVRAMは8GBあれば必要十分(4Kを求めるならもっと欲しいが)なのでメモリの余裕は心の余裕。

ROG Xbox Ally Xは設定で動作モードをサイレント、パフォーマンス、ターボに切り替えられて右に行くほど性能(と消費電力とファンの音)も大きくなるんだけど、自分はバッテリー駆動時は最高性能より一段下のパフォーマンスモードで普段遊んでる。

パフォーマンスモードなら重量級のゲームでも3時間弱ぐらい(つまりSwitch2ぐらい)遊べるし、大半のゲームを1080p標準〜ちょっと下ぐらいの設定で60fpsで動かせる性能もある。もちろんターボにすればさらに設定を引き上げることも可能なんだけど相応にバッテリー持ちも悪くなるしファンの音もデカくなるので、携帯ゲーム機として使いやすさを維持したまま適度な性能を出せるのが良い。

この通りピーク性能が高いおかげであまり無理させなくても大半のゲームを快適に遊べるのも良い。パフォーマンスモードに留めればファンの音もほぼ気にならない程度には静か。

ストレージ1TBが嬉しい

ストレージが1TB(しかもM.2SSDなのでかなり速い)のも素晴らしい。最近の大作ゲームは余裕で一本100GB超えてくるし標準のストレージが大きいのは良いこと。MicroSDで拡張すれば良いじゃないかと思うかもしれないけどMicroSDカードって現状ほぼSwitch2専用に近いExpressを除けば高速なものでも読み出し速度は100MB/sに留まるので、M.2SSDの数GB/sの読み込み速度とそれを標準にしてるゲーム機に慣れると遅すぎて厳しい。ストレスで禿げそうになるので可能な限りMicroSDをゲームの保存には使いたくないのだ。

ゲームの遊びやすさに配慮したデザイン&設計

あとこの取ってつけたみたいなコントローラー風デザインと弁当箱みたいな厚み。いまだにダサいと思うけどその分握り心地、長期間プレイへの配慮自体は本物で、700グラムつまり初代Switchの2倍近いとは思えないぐらい良好な握り心地と、バッテリーなど重量物をボディ下部に極力集中させたことによる重量バランスのおかげで重さからは想像がつかないほど快適に遊べる。

バッテリー駆動で充電が必要になるまでぶっ通しで遊び続けても手や指が痛くなったりしないし、スティックはラバー加工されているおかげで指に力を入れなくても楽に動かせる、

不満点1  ディスプレイがちょっと物足りない

そんなROG Xbox Ally Xの問題点として、ディスプレイ性能が少し物足りない点がある。フルHDで120fpsではあるんだけど画面サイズは7インチ止まりでHDRにも非対応(しかも有機ELでもない)画面サイズはSwitch2が出た今となってはちょっと小さく感じるし、有機ELでもないので発色も少し物足りない。ベゼルがそこそこ太いのも気になる。

不満点2 トリガーボタンに擦れる感じがある

これは個体差なのかもしれないけど、トリガーボタン(LT/RTボタン)になんか引っ掛かるというか擦れるような感触がある。PS5やSteam Deckのトリガーボタンは特に抵抗感なく最後まで押し切れるのに、Allyのトリガーボタンにはトリガーボタンと本体の間で何かが擦れてそれが抵抗感になっているような謎の感触があった。

実用性には問題なしと言いたいところだけど例えば本体のプラスチックがトリガーボタンで削れているのであればその際に出てきた削れた粉とかが故障の原因にもなるのでこれは気になってしまう。

こんなに良いとは思わなかった

正直この手のWindowsのゲーミングUMPCってコントローラ付きPCって感じでSteam Deckに性能では勝ってもゲームを遊ぶ時の使い勝手では及ばないという印象があってなかなか食指が動かなかった。けどROG Xbox AllyのおかげでWindowsでもゲーム機として使いやすいUMPCが作れるんだと示されたのは良いこと。しかもこのXboxフルスクリーンエクスペリエンスは他社の製品にも導入可能になるという噂もあるので期待していきたい。

正直画面がちょっと小さいのは不満だけどこれ以上本体サイズが大きくなるのはもっと嫌なので、新型が出るとしたら本体サイズは現状維持のまま画面占有率をあげてほしい。

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