日本自動車博物館

旅行

旅行最終日の3日目は金沢から少し離れて加賀の自動車博物館に行ってきた。赤レンガ造りの立派な建物で入館料は大人1人で1200円。支払いは現金のみなので注意。

3階建ての建物内は吹き抜けで国産外車問わず多数の車が展示されてる。展示数は間違いなく100は軽々と超えているので全ては紹介しないしできない。ということで気になった車だけいくつか。

初代NSX。発売された時自分はまだ生まれてすらいないけど、全く古臭いと感じない。大衆車メーカーが本気で作ったスーパーカーというコンセプトも好きだし見た目も最高。2代目も好きだけどあれはまた別物。

AZ1。実物を見ると最高にオモチャっぽい。ちなみにこれは最高に褒め言葉。おもちゃといっても安っぽいとかチープというよりスーパーカーのミニチュアみたいで凝縮感があって良いと思っている。二人乗りで荷物もほとんど載せられないから遊びのため、趣味の車として買うしかないのが軽スポーツカーの辛いところ。

中国車といえば最近はBYDが有名になっているけど、中国車が日本で話題になるはるか以前に国産高級車ブランドとして設立されたのが「紅旗」。中国初の自動車ブランドで共産党指導部のショーファーとして利用されるほかに、中国の友好国の首脳にも供与されることがあるらしい。

【その名は紅旗「H9」】日本初販売の純中国車 デザインに思い 「白銀比」とは - AUTOCAR JAPAN
日本に正規輸入される初の純・中国車の紅旗H9。その正体に迫ります。デザインには深い思いが込められています。

実は結構前に日本市場にも進出してるんだけどあまり話題にはなってない。もちろん現代中国でも紅旗の最新モデルがショーファーとして利用されている。

共産主義国家繋がりで次は旧東ドイツの国民車「トラバント」紙で出来た車などと悪名高いけど実際にはワタの繊維を使ったFRP、フェノール樹脂などプラスチックでできた車というのが正解。これは当時の共産圏の事情から鉄を節約したかったこと、トラバントの製造メーカーの前身が戦前に試みたFRPによる車体の軽量化を引き継いだことによるらしい。だが当時の東ドイツの工業水準では鉄よりも量産性が低いFRPを綺麗に加工することは難しく、表面がザラザラしたボール紙のようになってしまったため、西側諸国のメディアが東ドイツや東側諸国の工業技術の低さを皮肉って「紙で出来た車」と揶揄されるようになってしまった。

一方こっちはトラバントより少し前、西ドイツのバブルカーたち。日本でいう軽自動車に近いポジションで、定員は1人か2人。メッサーシュミット、ヘンケル(ハインケル)という文字から察せる通り、Bf109やMe262、He111などWW2ドイツの戦闘機メーカーを代表するあのメッサーシュミットとハインケルにより製造されている。

戦争が終わって戦闘機を作れない、需要も無くなってしまい窮した軍用機メーカーたちが持てるリソースを使ってなんとかその場を凌ぐために開発したマイクロカーたち。それが戦後生活が苦しくなっていた一般庶民のニーズと合致して戦後しばらくはヨーロッパではバブルカーがブームになった。

FRP、超小型車という点で共通点のあるフジキャビン。スバル360やスズライト以前の黎明期の軽自動車の一台で、前二輪、後一輪の三輪自動車。軽量化のためにモノコック構造でFRPを全面的に使用するという意欲的な設計で重さはわずか140キロ。FRPを積層して製造されている。最もエンジンも125cc5.5馬力(現在の原付にも劣る)しかなくていくら軽量とはいえ力不足。カタログ上は60キロ出るらしいが。

また手作業でFRPを積層する製造工程では品質はお世辞にも良いとはいえず初期不良も多発。結局生産台数は85台で商業的には大失敗に終わってしまった。

フライングフェザー。これもまた黎明期の軽自動車。機能を極限まで削ぎ落とした最低限の車だけど、当時の車は文字通り一世一代の買い物。軽自動車でも所有する喜びが欲しいってことで売れ行きはイマイチ。でもそのシンプルを突き詰めたデザインやコンセプトは現代の車好きには高評価だったりする。

このほかにも日本自動車博物館には多数の車が展示されている。正直アトラクション的な仕掛けはなく単に説明文を添えて車が配置されてるだけなので人によっては飽きるのも早いと思うけど、その圧倒的な展示台数はそういった不満を黙らせるには十分な威力。車好きなら一度は訪れてみてほしい。

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